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席亭ブログ

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ずっと気になる人

最初は高校の世界史の授業だった。
いつか著作を読んでみようと思った。

それから時が20年近く流れたある日、北京の街を独りで散歩していたら
偶然その人の博物館の前を通りかかったのでふらっと入ってみた。

平日の昼間、誰もいない建物の中をゆっくり見てまわった。
実際に暮らしていた家も移築されていて、使っていた机や
ベッドもそのままだった。

忘れていた興味が静かに沸いてきて
帰国後にその人を解説した新書を読んだ。

それから10数年たったある初夏の日。
恩師が眠る鎌倉円覚寺の境内の一角にモクレンの木があった。
「その人」から贈られた木だと説明書きを見つけて驚いた。
それも恩師が生まれた昭和8年のことだった。

そして先日、新橋駅前の古本市で偶然目にとまった本があった。
26年前のものだが、新品同様の綺麗なもので200円。
すぐに財布を開いた。

『魯迅居断想』 阿部正路

その人とは魯迅。中国の文学者、思想家だ。

この本を読み終えたあと、30年来の満を持して
彼の著作とむきあうつもりでいる。