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席亭ブログ

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    はい、わーさーび。パシャ

    仲居さんに写真をとってもらうと必ずこの掛け声だ。
    油断すると、ツンとした顔になってしまう。

    53歳の誕生日をむかえた宿は、伊豆天城のそば、湯ヶ島温泉
    にある老舗旅館、「白壁荘」だった。

    天城産のワサビをふんだんに使う食事が圧巻だった。
    ワサビ鍋。おろしをまぜてみぞれ鍋のようなところに、
    すりおろしたばかりのワサビを大量に投入する。
    出汁にとかすもよし。つみれなどにちょんとのっけて食すもよし。

    おおぶりな見事なわさびが、あっという間に手をすってしまうほど
    短くなった。ひとまわりこぶりのワサビがおかわりで出てくる。
    ワサビのおかわりは初めてだ。

    お造りはもちろん、和牛にも、ごはんにも、なんでもワサビだ。
    朝食の時も1本。2人で3本まるまる頂いた。

    ワサビは茎のほうからする、というのも今まで知らなかった。
    確かに先端のほうが辛味が強いのがわかる。
    いままで逆だったので気づかなかった。

    この宿は名物の大岩風呂や巨木風呂がブラタモリで紹介されたり、
    作家井上靖の定宿だったり、名曲「天城越え」がここで生まれたり
    とエピソードには欠かないが、帰り道に頭をよぎるのは、やはり
    「はい、わーさーび」だった。

    わさびな一日を楽しんだ。

    *伊豆湯ヶ島 白壁荘
    https://www.shirakabeso.jp/

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    よっこいしょ、と。

    また一つ歳をとった。ここは三嶋大社の境内。
    座るときに自然と声が出るようになったのはここ数年の現象だ。

    記念日だから伊豆の帰りに三島でウナギでも食べて帰ろうか、
    となってその前の腹ごなしにここにきた。
    祭られている方には申し訳ないが、主がウナギで従が大社である。
    ウナ従、という言葉がうかびすぐに消す。

    前回三島にきたのは半年前、ひとりぶらりだった。
    *行き当たりばっかし(5)
    http://jotatsu-promise.com/ikiatari_5/

    参拝のあと前回気づかなかった「石」があった。
    座るのにちょうどよさそうだ。ではここで一休みしようか。
    右に看板があった。あれっ座ってはいけなかったかな。

    この石は頼朝が腰かけていた腰かけ石だった。
    それを知ったとたん、だらけた顔を少しひきしめる。
    目線をななめ上に天下を想う。

    相変わらず中身がともなわない、53歳のスタートとなった。

  • その他, 旅行記

    行き当たりばっかし(26)

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    散歩の途中で出会って一番嬉しいのは「いいカフェ」だ。
    異をとなえる人は少ないだろう。

    自宅からまっすぐ歩くと20分ほど。散らして歩くと30分ほど
    のところに、昭和の家を改造したカフェを見つけた。

    「大人だってゆっくりおやつを」

    言われると激しく共感するが、言われるまでその言葉はうかばない。
    これが素敵なコンセプトの条件だと気づく。

    店主に聞けばこのお店、2019年に神保町でオープンしたが、
    2021年にここに移転してきたという。駅からかなり離れた
    住宅街に都心からわざわざ引っ越してくる。こういう「非合理」な
    選択に、なぜかひきつけられる。

    「まじめな大人のかき氷」から完熟梅を頼んだ。
    2種類のシロップが洒落ている。

    ―しまった。かけすぎた!

    小学生のような嘆きのリアクションにつれは爆笑する。

    めげずにあっという間に小さくなった氷にとりつく。
    味はもちろんのこと、見た目からもあふれ出る涼を楽しむ。
    そうだった。コンセプトは「大人」だ。

    このお店、カフェでは珍しく席を選んで予約ができる。
    はじめて見つけたときは余裕があったのではいることができた。

    名物のプリンや豚まんもお薦めだ。

    有馬屋おやつ店
    https://select-type.com/p/arima_ya_ko_o_ri/

     

  • その他, 旅行記

    行き当たりばっかし(25)

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    物事はだいたい三番目で知っている人ががくんと減るらしい。
    日本で三番目に高い山、三番目に大きい湖、三番目に長い川。
    言える人は少ないだろう。僕も知らない。

    東京で一番大きな神社はと聞かれたら、小考のすえ明治神宮と
    正解をだせそうだ。二番目はなんとか靖国神社にたどりつくかも。
    だが三番目はわからない。

    それが散歩コースの中にあった。千年以上の歴史をもつ大宮八幡宮だ。
    ここは杉並区にありながら飲める地下水をくみ上げている。
    昔は湧水だったようだ。

    夏は猛暑を避けて早朝6時頃から小1時間散歩することが多い。
    お盆の時期は朝からセミの声がする。

    神社の奥左に若宮八幡神社があった。
    ひさしぶりにカブトムシに出会う。

    そう、今は、夏休みだ。

    大宮八幡宮
    https://www.ohmiya-hachimangu.or.jp/

     

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    西国分寺駅を降りて少し南下したあと国分寺方面に歩き出す。
    20分ほどで別世界に着いた。

    湧き水が小川となり、周囲は水が綺麗であることを示す草花が
    目を楽しませる。

    江戸時代に鷹狩が行われたというこの道は「お鷹の道」。
    全長400mにも満たないが、その短い距離に野菜の直売場が
    3つ4つある。湧き水の出ているところでは子供たちが裸足ではいり
    ザリガニ釣りを楽しんでいる。初夏には蛍が飛び舞うそうだ。

    都内、それも23区の西境から電車で15分ほどのところに
    こんな道があるとは驚いてしまう。よく開発されずに残ったものだ。

    直売所でもぎたてのビワや梅を買う。農家の人が直接売っているので
    話を聞くのも楽しい。

    途中、カフェに立ち寄った。地元野菜をつかったカレーがうまい。
    前日たまたまテレビの散歩番組で見つけた小さな旅だった。

    *史跡の駅「おたカフェ」
    http://www.ota-cafe.com/