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席亭ブログ
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シニア
友達のおうち
今日は実家で両親や弟家族とも会い賑やかな一日となった。
弟家族は広島旅行から帰ったばかりだった。
厳島神社では5歳になったばかりの姪っ子が能舞台を見て「明おじさんの友達のおうちといっしょだね」
と言ったそうでびっくりした。
一昨日ブログで紹介した住職に西本願寺の重文と国宝の能舞台を
案内して頂いたのが1年半前で、彼女がまだ3歳のときだ。2歳上のお姉さんと2人で能舞台をじっと眺めていたが、
彼女たちなりにしっかり記憶に残していたのだ。なにより30歳離れた住職と僕が、彼女から見て
「ともだち」だったことが嬉しかった。 -
その他
大福梅
今年の元旦の朝は『大福梅』から始まった。
京都の北野天満宮で配られる正月の縁起物だ。境内には50種1500本もの梅があり、
毎年2-3トンとれる梅を樽で塩漬けたあと
天日干してつくられる。元旦の朝のお茶にいれて招福息災を祈願する習慣は
平安時代から続いているという。伏見にお住まいの石音メンバーの方から送って頂いた。
ゆっくり飲むにつれて梅の酸味と塩気が強くなり、
自然と背筋が伸びて身体が目を覚ました。素敵な贈り物で始まった2018年。
感謝の気持ちでスタート出来て幸せだ。 -
囲碁 全般
住職の秘密基地
今回の琵琶湖の旅で、数日前から温めていたひとつの企画があった。
石音常連の住職にアポなしで訪問するというものだ。もし会えたら昨夏、両親や弟家族、妹家族10名で京都西本願寺を
訪れた際以来の再会となる。住職は西本願寺で33年勤務経験があって、
普段見ることができない国宝の能舞台や飛雲閣を案内してくださった。ここ琵琶湖のそば、彦根の南にある報恩寺は、開基から400年以上の
歴史を持つ大きなお寺で、住職はその11代目だ。午後2時前に到着したがお寺には誰もいない。
隣の家の呼び鈴を鳴らすも反応がない。残念だけど留守かな。
そう思ったときお堂のほうから声がした。「やぁほんまに、ほんまに根本さんや。えらいこっちゃ」
笑顔いっぱいながら突然で驚いた様子だ。
また会えてよかった。僕もほっとした。すぐにお堂の中に案内してくださった。
「そうや、ちょっとこっちに来て下さいな」そこはお堂の奥にある、住職の“秘密基地”だった。
三畳ぐらいの小部屋の中央に石油ストーブがあり、
その上でやかんが蒸気を出している。小さな机の上にはパソコンがあって、せっかくなので
私に石音の操作方法について聞きたいということだった。「いまちょっとだけ5割を超えとるのですよ」
パソコンを立ち上げながら嬉しそうだ。
住職の現在の戦績は2336勝2298敗。
1局1時間、10年かけて積み上げてこられた。パソコンの操作の簡単な説明をしたあと、
つれと一緒にこの秘密基地でしばし歓談した。「それは世の中には色々な人がおるけど、会うべきひととは
会えるように出来とるのですわ」偶然の再会をこう表現してくれた人は今までいなかった。
石油ストーブの間近で冷えた身体が暖まってきたが、心も熱くなった。住職自らたててくださったお抹茶と手作りの羊羹を頂きながら、
僕はこの至極のひとときを過ごす幸運に感謝した。 -
その他
旅の醍醐味
それは道の奥にひっそりとたたずんでいた。
よく来たね。今日はあなたたちが初めてだよ。
そんな声が聞こえてきた。さきほどまでの曇り空は知らぬまにどこかにいって、
ちょうど陽光が降り注いできたからかもしれない。湖南から近江八幡への道すがら、信号待ちの際に
道ばたの小さな看板に目がとまった。―国宝大笹原神社500m
ん?国宝!?
この2文字に目がない僕は慌ててハンドルを右にきった。
ガイドブックは3冊、隅々まで目を通したが
ここに国宝があるとの情報はない。半信半疑のまま、県道から脇道に車をゆっくり走らせる。
ほどなく森の中に小さな駐車場があらわれた。車は1台もなかった。車を降りて鳥居をくぐった瞬間、つれが声をあげた。
足先から「びびっと」きたらしい。
説明をみると『須佐之男命』とある。厳しい神様だ。僕らは誰もいない境内にはいった。
室町時代からたたずむ本殿は、囲いがあって近くまで寄れないが、
欄間や側面にほどこされた彫刻の見事さを双眼鏡で楽しんだ。神聖さや絢爛豪華さ、荘厳さとも違う、
いままで出会ったなかで一番静かで素朴な国宝だ。信号で止まらなければ生涯ここに来ることはなかっただろう。
そんな幸運に出会えるのも旅の醍醐味の一つだ。 -
囲碁 全般
石に魅かれて
仕事柄、「石」という字を見ると脳が勝手に反応する。
親しみを感じる、に近い。今回の旅で湖北では『石道寺』、湖南では『石山寺』
に足が向いたのも偶然ではないかもしれない。石道寺では、薄化粧を施した初々しい女性のような観音様に出会った。
作家井上靖氏が、村の娘さんのようなと評しているのもうなずける。
唇が赤い観音様は初めてだ。石山寺では、国宝の本堂の『源氏の間』にある紫式部像が
まっさきに目を捉えた。
実際に紫式部は、この小さな部屋にこもり源氏物語を書いたという。ライバルの清少納言も『枕草子』の中で「寺は石山」と書いている。
この2人の女性は囲碁を愛したことでも有名で
どちらも有段の腕前だったといわれている。2人が盤に向かい合って静かに石を打つ。
千年前のそんな光景を思い浮かべながら、いっときを過ごした。