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席亭ブログ

  • シニア, 旅行記

    行き当たりばっかし(22)

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    ―あら、浩宮様じゃない。

    お袋の声で壁に貼られた何枚かの写真に目をやると
    たしかに若かりし浩宮様、いまの天皇陛下が写っていた。

    昭和49年と50年、まだ中学生の浩宮様は、2年続けて
    この宿、増冨温泉「不老閣」の裏手にある2つの100名山、
    瑞牆山と金峰山に登る前に1人で泊まったそうだ。

    よくある皇室御用達の豪華な宿ではない。
    23部屋のうち部屋にトイレがついているのは数部屋のみ。
    あとは合宿所のように、トイレも歯磨きも共同だ。

    宿の人に聞いて驚いた。当時泊まった部屋は207号室。
    お袋と親父と妹の泊まる部屋だった。弱視の親父のために
    トイレ付の部屋を押さえたのが奏功した。

    ―ここがそうなの。へぇ浩宮様がねぇ。

    簡素な部屋の中でお袋がつぶやいた。
    こういう偶然は帰宅後のいい土産話になるだろう。
    小さい部屋からあぶれた僕は隣の206号室に1人。

    ーそうか、ここはSPが泊まったのか。
    これはそれほど土産話にはならないだろう。

  • シニア, 旅行記

    行き当たりばっかし(17)

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    今回の旅では、「最高の親孝行」のカタチがひとつ見えたことが収穫だった。

    物をプレゼントするよりも近年はなるべく一緒の時間を過ごすようにしている。
    今回のツアーを選んだのは、お袋が足立美術館に行ってみたい、と長年言っていた
    からだったが、何より3日間、ともにかけがえのない時間が過ごせたのはよかった。

    思いのほか喜んでもらえたのは、
    「昔話を訊く」

    これが親孝行になるとは意外だった。

    聞くではなく聴くでもなく訊く。
    こちらから質問する、だ。

    例えば自分が子供の頃の話。
    親父の仕事の話。お袋が親父と結婚する前の話。

    記憶とは面白いもので、ひとつきっかけがあると、次々に思いだす。
    まるで大事にしまっておいた箱から宝物を取り出すように。

    そのきっかけが「昔話を訊く」なのだ。
    今まで一緒にいった旅行はツアーではなく僕が運転する車だった。
    車の中での会話は1対1ではないからか、深い話になりにくい。
    しかしツアーでは往復の新幹線など、隣同士の時間がたっぷりあった。

    シニアは自慢話にならないよう気をつける癖がついている人も多いが、
    こちらが聞いた質問に答える分には自慢にはならない。
    親父に仕事の話をどんどん訊いていくと、時に嬉しそうな顔になった。

    たくさん訊いて、その答えを聴く。
    しっかり耳を傾ける。

    これからも続けていこう。


    動画「幸せの貯金箱」でこの内容を短くまとめています。
    よかったら一度ご覧ください。

    『最高の親孝行』
    https://www.youtube.com/watch?v=ONOHT7m6Dvs

     

  • 2016/10/31の夕刊です。

    この宇治に住む方が先日亡くなられました。87歳でした。
    たまたまコラムが京都新聞で連載が始まったので、
    「毎週金曜、近くの配達所に夕刊を買いにいくのが楽しみです」
    と仰って、毎号切り抜いてスキャンしてメールをくださいました。

    7年間、たくさんのことを教わり、頂き、交流を楽しみました。
    Tさんありがとうございました。

    シニア友人帳2(京都新聞1031)4

  • その他, シニア

    しょうてんの風景

    「明の撮影はカメラボタンではなく動画ボタンをおしているのが
    たくさんあったわよ。ピントのあわせかたもいまいちね。
    でも昨日は朝早くからありがとう。お父さんもよろこんでいたわ」

    母からメッセージが届いた。

    僕はもとよりガラケーだ。
    スマホデビューしたての母に、上から目線の絶好機を
    与えてしまったのが少し悔しい。

    焦点はあってなかったかもしれないけど
    笑点にはあえたでしょ。

    こんな返しだと座布団一枚もらえるだろうか。

    昨日、後楽園ホールで『笑点』を3人で観覧した。

    当選倍率50倍を勝ち抜き、当日3時間半前から並んで
    ダッシュしてとったアリーナ席だったが、父をつれて
    ゆっくり入場してきた母が後方でさけぶ。

    「こちらの席のほうがいいわよ」

    たしかにパイプ椅子で平らな前方より、
    やわらかいスタンド席前方のほうが、楽で見やすい。
    おいおい、僕の3時間は何だったんだ。一瞬頭をよぎったが、
    すぐ気持ちをきりかえてガラガラの後方に陣取る。

    普段の放送は半分ぐらいカットされているのがわかった。
    いつもより長い大喜利2本分も、笑っていたらあっという間だった。

    「一生に一度は見る価値があるな」

    帰り際、父らしい感想があった。

    好みの焦点はあっていたようだ。

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    笑点
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  • シニア

    三度目も正直

    9月22日に『笑点』の収録が後楽園ホールである。

    2年ほど前から、毎回というわけではなく、思い出した頃に
    観覧応募ハガキを10枚送っている。今回で三度目だ。

    挑戦しているのには理由がある。

    第一に、プレゼントのネタがなくなってきた。
    毎年やってくる父の日や誕生日。弟や妹からのものとも、
    自分があげた過去のものとも、かぶりを避けるのが難しくなってきた。

    第二に、軽く驚かせたい。
    偶然の産物は、自分の意思で買えるものとは違って、
    少し違った色に見えるはずだ。

    第三に、毎週見ている。
    眼が悪くなっている父だが、仮によく見えなくても
    馴染みのあるものであれば、音や雰囲気で楽しめるだろう。

    当選したら収録2週間前までにハガキがくるという。

    どうやら今回も今までと同じ結果になりそうだが、
    あまり力まず出し続けていれば、いつかきっと。