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石音インストラクターブログ

2017/01/04

囲碁, 長谷俊インストラクター

長谷インのグローバル囲碁旅行記~台湾編その10~

皆さんこんにちは。
ついに最終章を迎えることになりました。

思えばこれまで長い道のりでした。
旅行に行った時間(24×5)くらいかかっていますよ、この旅行記。
それもまたいい思い出です。

皆さん、今後とも長谷インのグローバル囲碁旅行記をご期待ください。


台湾編その10「成長の証」

旅行4日目、時刻は21時45分。
長谷インはすべての終わりを悟っていた。
そう、最終バスを乗り過ごしてしまったのだ。

「・・・・・・。」
もう体力も尽き、精神力もなく、ただ茫然とするばかり。
無心のまま上へ向かって歩き出す。

(しょうがないから今から旅館に飛びこむか、イートインスペースで夜を明かすか、
Gさん達と仲良く一夜を過ごそうか。)

言葉が通じないのに、どうやって交渉しようか。
かといって外で寝たら、野犬やGの餌食になって死ぬかもしれない。
イートインに入り浸ったら、店員さんに追い払われないだろうか。

そもそも一番の懸念は明日の飛行機の時間です。
明日の16時頃の予定だから、まあ間に合うことは間に合います。
しかし、明日は故宮博物館を見に行こうと思っていたのに・・・。

限界まで追い詰められながらも、まだその意欲を失っていません。
それ以前になぜ上を目指して歩いているのか?
実は50メートル先にもバス停があるのです。

(ダメ元でとりあえず確認しに行こう。)

まあダメでしょうね、それはわかっています。
それでも確かめずにはいられない。
この世にはきっと猫バスが走っていることを・・・!

「うっ・・・。」
「あの光は・・・?」
「まっ、まさか・・・!?」

そう、目の前のカーブから一台のバスがやってきました。
何という僥倖、何という奇跡・・・!
しかし、現実はそう甘くありませんでした。

「あ、行き先が違う・・・。」
そうです。
皆さんお忘れかもしれませんが、台湾では「〇〇(番号)」となっている
バスの行先を見るわけです。
(※旅行記3参照。)

そんな都合よく奇跡は起こりません。
この世には神もトトロも存在しません。
そう悟りつつも諦めきれずに歩いていた、まさにそのとき・・・。

「うっ・・・。」
「あの光は・・・?」
「まっ、まさか・・・!?」

そう、目の前のカーブから一台のバスがやってきました。
何という僥倖、何という奇跡・・・!
そして今度こそ、それは本当の奇跡だったのです。

「あれは、忠孝復興行きのバスじゃないか!」

なりふり構わず、必死に手を上げました。
バスはもうバス停を出発してカーブに差し掛かっているところです。
ただでさえ、バス停で手を上げないと止まってくれないのに、
道の真ん中じゃあ・・・。

プシュー。
ウィーン。

今、奇跡の扉が開きました。
猫バスはあったんだ、トトロはいたんだ!
乗りこみながら必死に悠遊カードをタッチして席に座りました。

運転手さん、ありがとう。
トトロはあなただったんだ!

もうズタボロの身体で、すべての気力は潰えても感謝の気持ちは
自然と溢れてきます。

「まだ、まだ油断できない。」
「ここで寝てしまっては、寝過して元の木阿弥だ・・・!」

ここで寝落ちできないのは結構きついですよ。
まあ、疲れすぎてて眠気もそんなになかったわけですが。

忠孝復興まで九?から一時間半かかります。
無事に帰路に着くことができるかどうか。

「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
「ここか、いやここじゃないのか?」

また今どこなのか、わからなくなりました。
もう思考力はまったく残っていません。

「うう、ここは街だしみんな降りてる。」
「ここは・・・見覚えがない、どうする?!」
「ええい、やあ!」

決意の降車。
はたして長谷インの運命は・・・!?

「・・・・・・。」
「およ?」
「ここは、ゲストハウスの真ん前だ。」

そう、そこはまさにホーム。
懐かしい宿の目の前でした。

4日目の朝、ここを出てからどれくらい時間が経ったのだろう。
丸一日?・・・いや、違う。
おそらく一ヶ月、いやそれ以上かもしれない。
もののけが跋扈する九?の地へ赴いたあげく、辛くも生還することが
できました。

もう初日?4日目まで死ぬほど歩きました。
しかも無駄に。
無駄こそが人生かもしれません。
人生でこれほど不毛な道のりを歩いたことはありません。

しかしこれで良いのです。
馬鹿なんだから。
「これでいいのだ!」
バカボンボン。

さて、最終日5日目になりました。
昨日までとはうって変わり、すがすがしい朝です。
心が晴れ晴れとしています。

最終日は故宮博物館に行って、そこから空港に向かい日本へ帰ります。
昼までは荷物を預けておけるみたいですが、もう帰ってくる意味もないので
そのまま宿を出ます。正直、荷物を置いてくればよかったと後悔しています。
また毎度の如く、帰国直前まで死ぬほど迷うことになりましたから。

故宮博物館については割愛しましょう。
長谷インには芸術、文化を理解する目がなかったようです。
行く途中でまた軽く迷子になったり、バスの運転手のおじさんに助けられたりと
そこら辺は相変わらずでした。

問題は空港までの道のりです。
故宮を見学しているときに、うっかり携帯を落としました。そしたら何と
バグってしまい、本来の表示より5時間10分も早くなってしまったのです。

もう見学しながら通常の表示ではないので、気が気ではありません。
係の人に「What time?」と聞くも、なかなか通じず正確な時間が
わかりません。仕方がないので、余裕を持って博物館を出ました。

しばらくすると「あ、PCの時間を見ればよかった」
なんて初歩的なことに気づく始末。
しかし台湾最後の地獄はまだこれからでした。

まず忠孝復興に戻って、それからバスで空港を目指す予定です。
しかし乗り換えを誤って「南京復興」で降りてしまい、貴重な時間を
ロスしてしまいます。さらに忠孝復興で桃園空港行きのバスを探しますが、
まったく見つかりません。

正直、迷える余地がないほど限られた場所の中で、どうしても見つけることが
できません。ネットで旅行者のブログを調べて、そこに載ってあるチケット
売り場にもバス乗り場にもいつまで経っても辿り着かないのです。
搭乗の時刻は刻一刻と迫っています。
ここで乗り遅れたら、九?に取り残される比ではない大失態です。

もう泣きそうになりながら歩き回り、恥も外聞も捨てて道行く人に桃園行の
バス停を尋ねました。

道行く方々「******?」

そう、英語も中国語も発音が悪くて伝わりません。
皆さん一様にわからないと言うばかりです。

もう本当に間に合わなくなります。
どうしようもないので、旅行代理店っぽいところに駆けこんで店員さんに
最後の望みを託しました。

長谷イン「******」
店員さん「******」

もはや自分が何を言っているのか分かりません。
何とか英語と中国語で、紙を示しながら必死にここに行きたいと伝えました。
そしたら“超”流暢な英語で店員さんが対応してくれます。
流暢すぎて長谷インにはとても聞き取れません。
しばらく待っているように言われ、その後外へ案内してくれました。

ウィーン。(コンビニ)

長谷イン「??????」
店員さん「******」
年配の女性「******」

そう、この女性こそチケット売りのおばちゃんだったのです。
バス停はすぐそこにありました。
もう店員さん(背が高い、イケメン)には感謝の言葉もありません。
本当にお礼を言う前に颯爽と去ってしまったので、また代理店に
駆けこんでお礼を伝えました。

店員さんが対応してくれているときは、ちゃんと伝わったかどうかも
含めていろいろ不安でした。もう本当に追い詰められている日本人旅行者に
対して、まさに神対応をしてくれました。

ここで長谷インのアホさ加減をもう一度確認しておきましょう。

?忠孝復興のバス停を探していたが、もともとゲストハウスがあった場所なので
戻って聞けばよかった。

?ゲストハウスから送られていた帰りの道順(バス停)の書いてある紙を、
プリントアウトしていたことをすっかり忘れていた。

どんだけアホなんだよ、まったくもう。
それにしてもチケット売りのおばちゃんは意外でしたね。
だってバスが来る15分前になったら空港へ向かう人にチケットを売るわけですが、
動くチケット売り場なんて見つけようがありません。
ネットで旅行者のブログを探すだけでは、こういう細かいところまでは分かりません。
(一応載っていましたが、想像との相違が大きかったです。)

やっと空港へ向かうことができます。
時間はもうギリギリです。

また空港でもバタバタして、職員さんに案内してもらい、どうにかこうにか
フライトに間に合いました。
どこかで一歩でも間違えていれば、完全に乗り遅れています。
洒落になりませんよ、まったくもう。

ついに帰国です。
長かった・・・辛かった・・・。
そして楽しかった・・・!

最後に長谷インの成長の証ともいえるエピソードを記しておきましょう。

(機内にて)

CAさん「牛肉のごはんと豚肉のごはんどちらになさいますか?」
長谷イン「!!?」

そう、「ビーフorチキン?」ではなく「ビーフorブタ?」です。
つまり臆病者=チキンの選択肢がなくなっていたわけです。
初日の機内食では「チキンorブタ?」の二択でした。

しかし、長谷インはまだ勇敢なビーフではありません。
そう思った、まさにそのとき・・・。

CAさん「豚肉のごはんにはえび春巻きが付いています。」
長谷イン「!!!!!!」

そうです。何も持たない役なしの「ブタ」であった長谷インへの選択肢は、
確かに広がっていました。
勇敢なビーフなのか、それとも昇龍(えび)を携えたブタなのか?!
長谷インの選択は・・・。

長谷イン「えび春巻き付きのブタです。」

これにて台湾旅行は終わりです。
長谷インはまだ勇敢なビーフではありません。
されど何も持たないブタでも、ましてや何もできない臆病者(チキン)でも
ありません。

昇龍のごとき「えび」を携え、天にも昇るブタになります。


グローバル囲碁旅行記 ー台湾全編ー “完”

長谷インの今後にご期待ください。


「こぼれ話」
帰国するのに必死だったため、桃園空港で両替するのをすっかり忘れていました。
日本で両替して3000円幾らか損することに・・・。
そもそも宿泊代、食事代、席料、交通費で1万そこそこしか使っていません。
飛行機代も往復2万7千円って、どんな旅だよ、まったくもう。

(おしまい)

 

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