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席亭ブログ

2017年10月の席亭ブログ

  • その他

    石榴の街

    果物好きの僕が1年に1度食べるかどうかというものがある。

    石榴(ザクロ)だ。

    ジュースはたまに飲むが、トウモロコシみたいな実を
    一粒ずつ食べることはあまりない。

    そしてあの独特の甘酸っぱさは、久しぶりに出会うと
    一瞬でお気に入りに入る力がある。

    先日テレビでスペインのグラナダを紹介していた際、
    町中いたるところにザクロのマークがあった。

    果物屋のおばさんが、ザクロを持ちながら自慢気な表情で話しはじめる。

    「グラナダは堅い守りのイスラムを破って作られた街だから、
    ザクロのマーク(硬い皮が一部めくれている)なのよ」

    「ザクロの実はどれでも365粒なの。知ってた?」

    こういうおばさんに旅行中に出会ったら得した気分になるだろう。

    あとで調べたら、グラナダとはスペイン語でザクロのこと。
    この地に元々ザクロの木がたくさんあったかららしい。
    あのおばさんは何も言ってなかったが。

    さて、今週末は旬のザクロを探しに出かけるとしよう。

  • 囲碁 全般

    置碁の白を楽しもう

    囲碁界では白番(上手)の打ち方論があまり発展していない。

    8子、9子といった多石置碁では勝負を楽しむというより
    指導碁の雰囲気がただよう。

    これは何ともったいないことか。
    たくさん置かせる白番でも十分対局を楽しめるし上達の糧にもなる。

    自分が3千局の置碁を打った経験から編み出した「天空流」。

    これは中央から打ち始めることで「両にらみ」ポイントを次々と移動させ
    盤上のあちこちで「未完成」をつくり、その味の融合で
    勝負にもっていく打ち方だ。

    僕のサイト「石音」では毎週木曜夜、『天空流講座』を開催している。

    どなたでも参加できるので、
    お試しIDを取得して一度のぞきにきて頂きたい。

    囲碁サイト石音 http://www.ishioto.jp/

    天空流とは(動画あり)http://www.ishioto.jp/sekitei/#link02

  • 囲碁 教え方

    良質な質問

    間もなく始まる新囲碁教室の打合せでこんな話になった。

    上達には「良質な質問」が欠かせない。
    教える側の質問も、教わる側の質問も、質が良くなければならない。

    質問の質とはどういうことだろう。

    教わる側では、

    ただ正解を知ろうとする質問
    自分の頭を使わず相手に頼る質問
    タイミングを考えずふと浮かんだときにする質問

    これらは質の悪い質問だ。

    教える側では

    ただ正解を求める質問
    記憶だけをチェックする質問
    文脈やタイミングを意識しない質問

    これらは質が悪いといえるだろう。

    間もなく始まる『上達の約束』は「囲碁教室の新しいカタチ」を標榜する。

    先生と生徒で「良質な質問」がとびかう楽しい場にしたい。

    *囲碁教室『上達の約束』11/5(日曜)14時スタート!
    https://peraichi.com/landing_pages/view/jotatsu-promise-igo

  • 囲碁 全般

    すごさの伝達

    二度目の井山七冠が誕生した。

    将棋の羽生七冠誕生のときを思いだす。
    たしか一度目の七冠挑戦を失敗して、そのあと1年、六冠全部防衛して
    残る一つの挑戦者になって達成した。

    20年前のあの時、劇的なストーリーに激しく心を奪われた。
    今回はそれに「ガツン」という衝撃が加わった。
    将棋と囲碁ではタイトル数はほぼ同じだが、棋士の数が3倍違うのだ。

    将棋も囲碁も関心が薄い妻が言う。
    「それって藤井さんの29連勝と比べてどうなの」

    それよりは確実に凄いんだ。
    井山はこの1年、タイトル戦で同じ29局戦っているけど5敗しかしてない。
    同じ29局でも相手のレベルが桁違いだからね。

    力説すればするほど、相手に伝わってない感がこちらに伝わってくる。

    「でも世間は七冠よりも29連勝のほうがすごいって思ってるわよ。
    わかりやすいから」

    そう、すごさの伝達はロジックではなく感性なんだ。 
    そして良質なストーリーも必要だ。

    優れた表現者が現れるのを待つことにしよう。

  • その他

    見舞いの仕方

    「もう誰も癌のこと言わないのよね」

    伯母がぽつりと呟いたのが耳に残っている。

    都立病院の緩和ケア病棟に入って1ヶ月半。
    今日は2度目のお見舞いに母と一緒に訪ねた。

    ここは末期がんの方だけが22名入っているフロアで、
    他のフロアと比べて時間と空気がゆっくり流れている。

    母と伯母は、今日もいつもと変わらず株の話や選挙の話で
    盛り上がっていた。

    残り時間がそう長くないのは本人もわかっている。
    そんな中、どうお見舞いしていいのかわからない。

    そばで話すひとときを、かわした会話を、
    大事に心にしまうしかないのだろう。