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席亭ブログ

2017年12月の席亭ブログ

  • シニア

    寅さんの役割

    今日は87歳の方と対局のあと、奥様と3人で久しぶりの食事を
    楽しませて頂いた。

    ご夫婦はロシア、ノルウェー、ドイツ、イタリア、イギリスと
    1ヶ月に及ぶ強行スケジュールの出張を終えて帰国したばかりだ。

    海外での思い出話が一段落したあと、ふと日本の女優の話になった。

    「岸恵子って本当にかわいらしくて素敵だったわね」

    昔のことを懐かしく思い出しているようだ。
    ロシアつながりで栗原小巻の話にもなった。

    顔はなんとか浮かぶが僕の世代にはあまり馴染みがない。
    しかし僕には強い味方があった。岸恵子も栗原小巻も
    昔のトップ女優はみんな寅さんのマドンナなのだ。

    ご夫婦は寅さんはあまりご覧になってないようだったが、
    僕にも同じ女優に思い入れがあると話の弾みぐあいが違ってくる。

    40歳差を超えて女優話を共感できる。

    こんな新しい「寅さんの役割」を発見した夜だった。

  • 旅の前

    旅を楽しむスタイルが40代になってかわってきた。

    一言でいえば「旅の前」が大きくなった。
    旅を始めるまえに旅の楽しみの3割を消化している。

    26日から3日間、米原から反時計回りに琵琶湖を車で一周する。

    長浜では寅さん第47作のロケ地を巡りたい。
    既に何度か見返してポイントは確認した。

    中央に浮かぶ竹生島、国宝十一面観音のある向源寺、三井寺や石山寺、
    多賀大社など調べ始めると、どんどん興味が広がっていく。

    知らないところがあるってこんなに楽しいことなんだと気づく。

    まだまだ日本には、そんな場所がたくさん残っている。

  • その他

    41.1度

    恥ずかしながら反省として記しておく。
    先週木曜夜、人生で最も高い体温を記録した。

    電池が切れかかったテルモ体温計のかわりに
    新調したオムロン体温計の最初の検温だった。
    彼もいきなり驚いただろう。

    僕の電池も切れかかっていた。
    火曜夜から5日間、39度を超える高熱が続いた。
    抗生剤を2度注射し、抗生物質を投与し続けて昨晩ようやく下がった。

    ついこの前、今年は体調を崩していないからまずい、
    なんてことをここに書いたのが利いたのだろうか。

    とすると今後は筆も慎重にならざるをえない。

    丁度2年前、同じ腎盂腎炎で同じお医者さんに
    お世話になったので処置が早く助かった。

    4日間、ほとんどまともに食べなかったので
    新年に向けたデトックスは出来た。
    ただこれは今年限りの対策としよう。

    そして、これからは、元気で過ごせる1日1日をもっと大事に、
    もっと大切に、自分と向き合おう。

  • その他

    朗報きたる

    今年は忘年会が一つもない。
    そんななか、唯一の誘いが今日届いた。

    5歳の女の子からだった。

    「おねえちゃんと一緒にクリスマスパーティーにきてね」

    おねえちゃんとはつれのこと。つれの姪から家ランチのお誘いだ。
    何歳からでも誘いは嬉しい。

    そういえば先月は米寿の方に飲みに誘われた。
    来月はこの83歳差の間からの誘いもあると思う。

    きっと。

  • 囲碁 全般

    Y君の石音

    高校OB大会に毎回参加してくれたメンバーに中高同窓のY君がいた。

    今から33年前、彼と僕は、他の部員よりも遅く囲碁部に入ったので、
    既に有段者になっている仲間を追いかける形でお互い切磋琢磨の日々だった。

    中学3年、高校1年の2年間は「囲碁しか記憶にない」ぐらい没頭した。
    そのかいあってか、高校3年の時に選手3人の1人に入れるかどうか
    ギリギリの棋力にまで到達した。

    選手候補の高段者が20名を数える囲碁強豪校だったので
    まず母校で選手になるのが大変だったのだ。

    そしてリーグ戦の最終戦、最後の1席を争う形でY君と打つことになった。

    結果は僕がギリギリの勝利を収めた。嬉しさと申し訳なさが同居する
    不思議な気持ちを初めて味わった。対局後の彼が予想以上に淡々と
    していたので余計印象に残った。

    それから時が流れて、僕が石音を始めたことを知ると彼はすぐに
    会員になってくれた。仕事が忙しく常連メンバーとはならなかったが
    毎年新年にじっくり2人で打つのが定例となった。
    勝負は五分と五分で、勝ったほうはその年を気分よくスタートできた。

    今から4年前のクリスマス、突然の一報に言葉を失った。
    彼が酔ってホームから転落して亡くなったのだ。

    数日前の、新年もまた打とうという確認メールのやりとりが、
    まだ受信トレイのすぐ見れる場所に残っている。
    すぐには、彼とはもう打てない、という事実を受け入れられなかった。

    僕はその夜、石音から彼との棋譜を全て取り出して並べた。
    そうしないと心のざわめきを押さえられなかった。

    電子音だから全部同じ音のはずだが、やはり30年来の棋友である
    Y君の石音は、僕にはたしかに違って聞こえた。