Blog

席亭ブログ

  • シニア

    マスとヤマメ

    囲碁を教えている87歳の方と奥様と3人で昼食を食べながら、
    先日山梨の渓谷を歩いた話をした。

    ご夫婦は僕の話をいつも面白そうに聞いてくださるので
    つい話が弾んでしまう。

    そして僕の話に関連した自分の経験談を、ユーモアをまじえ
    続けるのも毎度のことだ。

    その方は数十年前、奥多摩の渓谷でマス釣りをしたそうだ。
    しかし、2匹のマスが追いかけあいながら優雅に泳ぐのを見ているうちに、
    頭の中に自然とシューベルトの「鱒」が流れてきて
    釣るのを忘れてしまったという。

    そんな話を聞いてると僕にもその曲が流れてきた。
    そうか。名曲はこういうシーンからふと生まれるのか。

    僕の渓谷の話には、弾んでもいい続きがあった。

    小さな池で養殖されているヤマメを見て、
    朝食で出てきた甘露煮のサイズに似てるとか、
    もっと太ったほうが美味しいだろうなとか、次々と浮かんだのだ。

    もちろんこの話はそっと胸の奥にしまいこんだ。

    *シューベルト「鱒」第4楽章 http://mjk.ac/3Z9XFN

  • シニア

    選ばれる喜び

    いま準備中の『名脇役』は、
    シニアの「選ばれる喜び」をプロデュースする事業だ。

    シニアになると、この喜びを味わう機会が減る。
    今まで持っていた「選ばれるはず」という自信は
    年月とともに少しずつ、緩やかになくなっていく。

    現役時代の長きにわたる「選ばれるための戦い」を経て
    いま静かな日々を過ごす。これはこれでいいかもしれない。

    しかしその人が持っている経験・知見・技術・人縁といった無形の財産が、
    その自信の消失とともに社会から消えていくのも事実だ。

    それら財産は、もっている人自身も
    「できれば誰かに伝えて役立たせたい」
    と思っているが、なかなかその機会はない。

    とにかく「きっかけ」が必要だと思う。
    それをこれから僕が創る。

  • シニア

    先生で先死

    先が見えない今だからこそ先に生まれた人にきけ。

    こんな声にしたがって、僕は「シニアに学べ」を標榜している。
    先に生まれるで「先生」なので自然だと思う。

    僕に「シニアに学べ」を気づかせてくれた人が亡くなって、もう4年半になる。

    その「先生」は「先死」でもあった。
    そして今でも学びを届け続けてくれている。

  • シニア

    成仏できる人

    現在準備を進めている『名脇役』プロジェクト。
    その打ち合わせで「定年後、シニアはすぐには成仏できない」
    という話になった。

    「成仏する」とはなにか。

    それは「ただのおっさん」になることだ。
    出身企業や肩書を意識から消せることだ。

    簡単そうで最初はなかなか難しいが、誰しもほどなく
    成仏するときはくるらしい。

    それは、再就職を目指すも、「自分でなければできない」
    と思える仕事を見つけるのが無理とさとる時だ。

    お金に困っているわけではない、智慧も人縁も豊富なシニアが
    こうして社会から離れていく。個人の意識の成仏が、社会からの成仏となる。

    「成仏したからこそ満足できる仕事にめぐりあえる」

    こんな仕組みをつくりたい。
    いま、そう本気で思っている。

  • シニア

    物語の力

    今日は、私が理事を務めるNPO法人ライフベンチャークラブの
    「生涯現役塾」だった。

    この塾は毎月1回、32年間、一度も休まず継続しているもので
    今回がなんと第381回。私は昨年からだからまだ10回ほどだが、
    この会の継続力には驚かされる。

    今日私が発表したのは、シニアの活力を社会に活かすアイデア
    『名脇役プラン』。

    いつもなら企画発表ということで、要点だけレジメにまとめて
    配布して説明するところだが、今日は趣向を変えてみた。

    「名脇役になる日」という小エッセイを書き、それを読み上げたのだ。
    いつもの企画説明だと20分はかかるが、これはA4の表裏の文量だから
    読むのには5分もかかからなかった。

    僕が読み終えたあと、列席のメンバーからは歓声があがった。

    「面白いね~」
    「こういう話、あちこちで聞くのよ。そうなのよ」
    「これ、映画にしたいね!」

    映画はオーバーにしても、予想以上の反応に驚いた。
    そうだ。ビジネスモデルよりも、共感が大事なんだ。

    物語の力をあらためて知った発表になった。