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席亭ブログ
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囲碁 全般
考えるタイミング
囲碁を打っていると、相手がどのタイミングでじっくり考えるかで
相手の強さがわかる。
だいたい3パターンある。
一手一手じっくり考える、
ピンポンのようにすぐ打ち返す、
じっくりとピンポンの混合、この3つだ。
混合タイプも、どこでじっくり考えるのかで強さがわかる。
自分の失敗に気づいてから考えるのか、
失敗しそうな手前で考えるのか。
失敗しそうな手前を見分ける力が囲碁の力といえる。
これは囲碁に限らずいえることかもしれない。
今日対局した小学2年生の男の子は、棋力は初段ながら
見事なタイミングであちこちで手が止まった。
こちらがワザを仕掛けるちょっと前のタイミングで、
いままで打っていたポンポン打つリズムを崩して
じっと腰を落ち着けて考えるのだ。
この落差、このタイミング、とても8歳児とは思えなかった。
この子の成長が楽しみだ。 -
囲碁 全般
置碁の白を楽しもう
囲碁界では白番(上手)の打ち方論があまり発展していない。
8子、9子といった多石置碁では勝負を楽しむというより
指導碁の雰囲気がただよう。
これは何ともったいないことか。
たくさん置かせる白番でも十分対局を楽しめるし上達の糧にもなる。
自分が3千局の置碁を打った経験から編み出した「天空流」。
これは中央から打ち始めることで「両にらみ」ポイントを次々と移動させ
盤上のあちこちで「未完成」をつくり、その味の融合で
勝負にもっていく打ち方だ。
僕のサイト「石音」では毎週木曜夜、『天空流講座』を開催している。
どなたでも参加できるので、
お試しIDを取得して一度のぞきにきて頂きたい。
囲碁サイト石音 http://www.ishioto.jp/
天空流とは(動画あり)http://www.ishioto.jp/sekitei/#link02 -
囲碁 全般
すごさの伝達
二度目の井山七冠が誕生した。
将棋の羽生七冠誕生のときを思いだす。
たしか一度目の七冠挑戦を失敗して、そのあと1年、六冠全部防衛して
残る一つの挑戦者になって達成した。
20年前のあの時、劇的なストーリーに激しく心を奪われた。
今回はそれに「ガツン」という衝撃が加わった。
将棋と囲碁ではタイトル数はほぼ同じだが、棋士の数が3倍違うのだ。
将棋も囲碁も関心が薄い妻が言う。
「それって藤井さんの29連勝と比べてどうなの」
それよりは確実に凄いんだ。
井山はこの1年、タイトル戦で同じ29局戦っているけど5敗しかしてない。
同じ29局でも相手のレベルが桁違いだからね。
力説すればするほど、相手に伝わってない感がこちらに伝わってくる。
「でも世間は七冠よりも29連勝のほうがすごいって思ってるわよ。
わかりやすいから」
そう、すごさの伝達はロジックではなく感性なんだ。
そして良質なストーリーも必要だ。
優れた表現者が現れるのを待つことにしよう。 -
囲碁 全般
指導碁の葛藤
この9年間。いままで何局教えただろう。
87歳にして、もう少し、もう少し強くなりたい
という気持ちを常に持ち続けている。
今日、久しぶりに負けた。
いつも勝ちたい勝ちたいと言ってるその方の局後の声のトーンは、
意外と落ち着いたものだった。
高揚する気持ちを押さえているのはわかった。
僕は指導碁といえども、相手が高段者であれば
全力で勝負にこだわることにしている。
「今日は勝ったよ」
ちょっと得意げに奥様に報告する様子をみて、嬉しくなった。
これほど喜んでもらえるなら時々…。
ふだん心の奥にしまってある「葛藤」のボルテージが
最高潮になるのはこんな時だ。 -
囲碁 全般
やらない理由とやる理由
囲碁普及に燃えるシニアに会った。
その方は自宅で囲碁教室も開いている。
老舗碁盤店や碁石店にカラー碁石や
センスのいい皮の碁盤を作らせていた。
自分でも鹿の皮をなめした碁石袋や
それを入れる漆塗りの紙箱なども創っていた。
囲碁は19路だと大きくて、碁石碁盤もイメージが渋すぎるから
とっつきにくい、と力説していた。
その通りの面はあると思う。
今までこういった、女性に人気が出そうな小さくてお洒落な碁盤や
碁石をたくさん見てきた。
しかし売れ続けているものは一つもない。
それで碁が広まったという話も聞かない。
理由は単純だ。
「やらない理由を解決しても、やる理由にはならない」
からだ。
普及にもっていくには
「やる理由をつくった上で、ほんのスパイス的にやらない理由の解決を使う」
しかない。
最難関の「やる理由」に力の98%を傾ける必要があるのだ。
これが出来そうでなかなか出来ない。
気づきそうでなかなか気づけない。