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席亭ブログ

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    17年目の真実

    この家に住んで17年が経つ。
    その間、何度蛍光灯を変えたか覚えていない。

    しかし、天井の蛍光灯からぶら下がる紐が外れたのは
    今日が初めてだった。

    せっかくだから、長い紐にして、寝ながらオンオフできるようにしよう。
    ものぐさな方向ではすぐにアイデアが浮かぶ。
    円形の蛍光灯のカバー外に出ている、レバーに結び付けて準備OK
    さっそく引っ張ってみた。

    あれっつかない…。

    もう一度強めに数度引っ張る。
    いつも手に伝わる「明るさの段階」がない。

    さては何かやってしまったか。紐が外れたときに何かが起きたのか。
    そう思ってカバーを外し点検する。
    異常は見当たらない。

    うーむ。こういう時に人の頭は進化するもんだ。

    本当は「いらっ」としている自分を無理やりポジティブに変換して、
    違う部屋の同型のものと行き来すること数度。
    ようやく原因がわかった。

    カバーの外に出ているレバーに単に結びつけるだけではだめで、
    そのレバーの奥にある「何か」に紐がつながっていて、
    それを引っ張って今まで電気をつけていたのだ。

    下から見れば単純にレバーを下げているだけに見えた紐。
    17年間、ほぼ毎日何度か使ってきた。
    恐らくその回数は2万回は越すだろう。
    しかし一度たりともその仕組みに思いをよせなかった。

    こんな日常の習慣の裏に、思わぬ仕組みが隠れていた。

    少し首が痛いが得した気分だ。

  • その他

    耳の季節

    「春は目の季節、秋は耳の季節」

    というとおり、秋は虫の音が似あう。
    今日は一日中、雨音の日だった。

    僕の耳は顔から立って横に広がっている。
    耳大きいねと言われるが実はそれほどでもない。

    人の言うことを良く聞いて育ったから耳が立った
    と信じているが、真相は逆かもしれない。

    ところでジョン・ケージという現代音楽家の本で
    ある曲の存在を知って驚愕した。

    『4分33秒』

    試しに「聴いて」みてほしい。
    http://mjk.ac/zZwn7f

    音とはなにか。

    耳がいくら立っていても
    もう一度考えなおさないといけないかもしれない。

  • その他

    手前味噌

    今日、妻が味噌づくりのイベントに参加して、米麹、麦麹、
    あわせて5Kの味噌を重そうに持って帰ってきた。
    食べられるのは半年後だそうだ。

    秋から冬にかけて味噌づくりのシーズンなのは、農作業が
    一段落した季節に味噌を仕込んだ名残らしい。

    最近みなくなったササニシキは、水分が少なくごはんとしての
    需要は減ったのだが、味噌づくりにはぴったりだという。

    そんな仕入れたばかりの話をしながらも、味噌の出来栄えには
    自信がありそうだった。

    そういえば、僕もいま仕込んでいるものがある。

    来月から始まる『上達の約束』。囲碁界初の上達保証付プログラム。
    https://peraichi.com/landing_pages/view/jotatsu-promise-igo

    こちらも「手前味噌」ながら、味には少々自信がある。

  • その他

    石榴の街

    果物好きの僕が1年に1度食べるかどうかというものがある。

    石榴(ザクロ)だ。

    ジュースはたまに飲むが、トウモロコシみたいな実を
    一粒ずつ食べることはあまりない。

    そしてあの独特の甘酸っぱさは、久しぶりに出会うと
    一瞬でお気に入りに入る力がある。

    先日テレビでスペインのグラナダを紹介していた際、
    町中いたるところにザクロのマークがあった。

    果物屋のおばさんが、ザクロを持ちながら自慢気な表情で話しはじめる。

    「グラナダは堅い守りのイスラムを破って作られた街だから、
    ザクロのマーク(硬い皮が一部めくれている)なのよ」

    「ザクロの実はどれでも365粒なの。知ってた?」

    こういうおばさんに旅行中に出会ったら得した気分になるだろう。

    あとで調べたら、グラナダとはスペイン語でザクロのこと。
    この地に元々ザクロの木がたくさんあったかららしい。
    あのおばさんは何も言ってなかったが。

    さて、今週末は旬のザクロを探しに出かけるとしよう。

  • その他

    見舞いの仕方

    「もう誰も癌のこと言わないのよね」

    伯母がぽつりと呟いたのが耳に残っている。

    都立病院の緩和ケア病棟に入って1ヶ月半。
    今日は2度目のお見舞いに母と一緒に訪ねた。

    ここは末期がんの方だけが22名入っているフロアで、
    他のフロアと比べて時間と空気がゆっくり流れている。

    母と伯母は、今日もいつもと変わらず株の話や選挙の話で
    盛り上がっていた。

    残り時間がそう長くないのは本人もわかっている。
    そんな中、どうお見舞いしていいのかわからない。

    そばで話すひとときを、かわした会話を、
    大事に心にしまうしかないのだろう。