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席亭ブログ
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その他, 旅行記
行き当たりばっかし(30)
料理のよしあしは、その中身もさることながら、
誰といつ、どういう状況で食べるかによる。
これが映画にもあてはまることがよくわかった。
先日この10年で1番の映画に出会った。
『トップガン マーヴェリック』
は映画館で2回、DVDで5回観た。
これがあっさり更新だ。
『きっと、うまくいく』
2009年のインド映画。
これは2022年正月のNHK-BSで放送された。
友人が昔薦めていたなぁと思い出して、CMもないし
まぁいいかと軽い気持ちで予約した。
なぜいま観る気になったのか。
サイトを運営して18年2ヵ月、最大のピンチに陥っていた。
いままで2日以上止めたことがなかったが、今回5日以上に
わたりストップとなった。
1時間でも早く再開させたいが、自分が出来ることがあまりない。
待つのみだ。こういう時間は経つのが遅い。
他の事をしようにも、仕事はもちろん、読書、食事、睡眠をふくめ
能動的な動きが必要なものは、どれもなかなか集中できない。
あまり経験したことのない状況だ。
そこで、完全受け身になれるもの、映画を思いたった。
この「タイトル」に引き寄せられて深夜、再生ボタンを押した。
2時間51分。長めのはずが、あっという間に過ぎてくれた。
鑑賞後の気分は最高だった。ビフォーアフターでこんなに違うのか。
映画の冒頭、鍵となる日付が放送されるが、それがSEP.5。
僕が現実逃避でテレビの前に座ったのは9月5日。
行き当たりばったりも、時になんかの縁を生む。
ということかもしれない。 -
その他, 旅行記
行き当たりばっかし(29)
大人の駄菓子屋
食の玉手箱
楽しい おいしい 身体にやさしい
看板にいつわりなしだ。
ワクワクがとまらない食の隠れ家的セレクトショップを見つけた。
吉祥寺の千恵蔵(ちえくら)さん。
またもや店主と話し込んだ結果、このお店は創業13年目。
サラリーマン時代、営業で全国各地をまわっているうちに
各地の美味しいものに出会い、自分が感激したもの「だけ」を
300点集めてお店にしたという。
どんなジャンルであれ、人であれ、場所であれ、この「熱量」
に魅かれてファンになる。
こちらが1品手にとるごとに、そのものの魅力、ここに並んだ
背景を丁寧に説明してくれる。
ふらっと立ち寄った最初の訪問のときは、気づくと買い物かごが
いっぱいですごい重さになった。8千円で送料無料、に魅かれ、
結局1万5千円の大人買いに。
先日、母の傘寿のお祝いにサプライズでこのお店から10点ほど
詰め合わせて贈った。
ふりかけるごま油、黒豆そうめん、ゆば丼、薬師延命酢…。
母のはずんだ声の電話が嬉しかった。
これからも年に3回は訪問する、にちがいない。
吉祥寺 千恵蔵さん
http://chiekurasan.wixsite.com/chiekurasan -
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行き当たりばっかし(26)
散歩の途中で出会って一番嬉しいのは「いいカフェ」だ。
異をとなえる人は少ないだろう。
自宅からまっすぐ歩くと20分ほど。散らして歩くと30分ほど
のところに、昭和の家を改造したカフェを見つけた。
「大人だってゆっくりおやつを」
言われると激しく共感するが、言われるまでその言葉はうかばない。
これが素敵なコンセプトの条件だと気づく。
店主に聞けばこのお店、2019年に神保町でオープンしたが、
2021年にここに移転してきたという。駅からかなり離れた
住宅街に都心からわざわざ引っ越してくる。こういう「非合理」な
選択に、なぜかひきつけられる。
「まじめな大人のかき氷」から完熟梅を頼んだ。
2種類のシロップが洒落ている。
―しまった。かけすぎた!
小学生のような嘆きのリアクションにつれは爆笑する。
めげずにあっという間に小さくなった氷にとりつく。
味はもちろんのこと、見た目からもあふれ出る涼を楽しむ。
そうだった。コンセプトは「大人」だ。
このお店、カフェでは珍しく席を選んで予約ができる。
はじめて見つけたときは余裕があったのではいることができた。
名物のプリンや豚まんもお薦めだ。
有馬屋おやつ店
https://select-type.com/p/arima_ya_ko_o_ri/ -
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行き当たりばっかし(25)
物事はだいたい三番目で知っている人ががくんと減るらしい。
日本で三番目に高い山、三番目に大きい湖、三番目に長い川。
言える人は少ないだろう。僕も知らない。
東京で一番大きな神社はと聞かれたら、小考のすえ明治神宮と
正解をだせそうだ。二番目はなんとか靖国神社にたどりつくかも。
だが三番目はわからない。
それが散歩コースの中にあった。千年以上の歴史をもつ大宮八幡宮だ。
ここは杉並区にありながら飲める地下水をくみ上げている。
昔は湧水だったようだ。
夏は猛暑を避けて早朝6時頃から小1時間散歩することが多い。
お盆の時期は朝からセミの声がする。
神社の奥左に若宮八幡神社があった。
ひさしぶりにカブトムシに出会う。
そう、今は、夏休みだ。
大宮八幡宮
https://www.ohmiya-hachimangu.or.jp/ -
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行き当たりばっかし(18)
―あれ、これ、何でだろう。
通り過ぎる寸前、お店の前の看板が目に入って足をとめた。
NEW OPEN 12:34~18:00
吉祥寺で散歩の途中だった。いつも休日の散歩は高円寺、阿佐ヶ谷、荻窪、
西荻窪のどこかの駅周辺で、吉祥寺まで足を延ばしたのは2度目。
この通りは初だった。
開店時間が12:00でも12:30でもなく12:34にしているのは、
数字の並びで店主の洒落だろう、とすぐ気がついたが、
時計を見ると12:28でまだ開店前で透明の扉はしまっていた。
面白いね、と立ち去ろうとすると、店主が中から笑顔で扉を開けどうぞと。
―この時間はわざとですか?
―そうです、はい。3週間前にオープンしたばかりなんです。
「旅する本屋 街々書林」とある。
旅に関する本だけを集めた専門店だ。
店名もコンセプトも開店時間もこだわっているだけあって、
僕らはあっという間に店内に魅了された。
一冊ずつ丁寧に選ばれた本ばかりでなく、珍しい水彩毛筆や
「書くを愉しむ」という名前のノートなど、遊び心満載だ。
つれにもド真ん中だったようで、さっそく「参道めし」という本を
手に取り、もう買う気だ。
「旅のことばを読む」小柳 淳
帯にはこうあった。
ことばに出会ったとき、旅はもう始まっている。
カレル・チャペックからフーテンの寅さんまで
寅さんとあれば、手にとらないわけにはいかない。
手触り、色、装丁がとてもいい。
レジにもっていくと店主がにっこり。
―それ、私が書いたんです。
なに!ここは作家さん自らの手作り本屋さんなのか…。
すぐに話好きの店主と、まぁまぁ話好きの僕の高速かけあいが
始まった。店内はまだ誰もいなかった。
結局「旅の断片」「街と山のあいだ」若葉晃子の2冊も加え、
さらに先ほどのノートも。
つれは絵を描くのが趣味の義母に色鉛筆がわりにあげよう、
ということで先ほどの毛筆セットと本を。
会計はつれが5千円、僕が7千円也。
大人買い、というやつだ。
新刊書店に行く機会がめっきり減った昨今、
本が3冊で5千円を超えたのは久しぶりだ。
まだ読み始めてはいないが、いつも以上の偶然の出会いに、
この本には何か大きなものが隠れている、そんな気がする。
吉祥寺 街々書林
https://machi2.hp.peraichi.com/tabi/