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根本席亭ブログ 500人の笑顔を支える、ネット碁席亭日記 囲碁の上達方法やイベント情報など、日々の出来事を発信していきます。


ご存じの通り、恋愛に関しては失敗ばかり、初心者の寅さん。

しかし恋愛に悩む若者に対しては、

「お前いいか、芸者は座敷で口説くもんだ」

上から目線で達人のごとく。



旅先で義弟のお父さんに、今昔物語を紹介された。

「えっこんにゃくが何だって」

しかしその数日後、義弟に諭すように言う。

「いいか、これは今昔物語といってな」

まるで小さい頃から人生の書にしてきた人の口ぶり。寅さんの話を聞いた相手は、

すっかり心を動かされる。映画を見ている側は当然、

「どの口が言うか、自分を棚にあげて」

となってそこがユーモアのツボだ。自分を棚にあげる。気づかない人のことだ。



「あなたの声を聞かせてください」

役所によく置かれている、みんなの意見箱。見つけた寅さんは、「あっ」と大きな声

をその箱に聞かせる。当然何も返答がない。首をかしげて立ち去る寅さん。

全く気づかない。見ている側はほっこりする。笑いが起きる。



中国は北京。昔楽しい買い物をした。一軒のジーンズ屋に入った。店内は外国人

地元住民でごったがえしていた。 リーバイスやLeeが所せましと並んでいた。


値札を見ると460元(当時6500円)とある。店内は、せますぎて試着室はない。

店主だろうか。肝っ玉母さん風の女性が出てきた。頼んでもいないのに、メジャーで

僕のサイズを測りはじめた。こうされると、だんだん買う気になるのが不思議だ。

値段交渉が始まった。僕はいきなり100元でどうかと言ってみた。

にせもの天国の街、大胆にいくのが定石だ。さてどんな反応が返ってくるか。



「あんた、これ本物のリーバイスよ。知っているのかい。

100元なんて
無茶言わないで。200元でどう?」

少し怒ったような彼女の真剣な顔が、おかしくてたまらない。

いったい最初の値札は
何なのか。本物のリーバイス、なぜ3000円を切るのか。

言っている本人が全く
気づいていない。

結局その「本物のリーバイス」は、150元(当時2100円)で
手に入った。

翌朝チャック上部のボタンが綺麗に取れた。




「先輩もよく頑張りましたよ。以前より成長したと思いますよ」

大学時代、こんなテニスの後輩がいた。なぜか上から目線でいつも褒められた。

憎めない後輩だった。上から目線に自分で気づいていない。だから憎めない。



気づかない人。少し迷惑な人もいるだろう。少し変な人もいるだろう。

だが愛すべき人もいる。愛すべきキャラの人は、たいてい気づかない。



どちらかといえば、それは気づいたほうが人生楽しいかもしれない。

しかし気づかなくても楽しめる人がいる。愛される人がいる。

寅さんは気づかなかった。そして誰より愛された。

 




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