根本席亭ブログ 500人の笑顔を支える、ネット碁席亭日記 囲碁の上達方法やイベント情報など、日々の出来事を発信していきます。


囲碁では最初、「考えて」打つように教わる。



自分なりに考えて打って、失敗して、反省して成長する。



そのサイクルをまわす。上達して高段者になると、直感が磨かれ、



だんだん考えなくても打てるようになる。プロは考えなくてもほとんど打てる。



考えないで打てるからプロともいえる。




「考えなさい」からスタートして、「考えなくても打てる」がゴールだ。




テニスでは最初、どこに力を入れるといい球が打てるか、練習を繰りかえす。



上達すると、今度は力を抜く技が必要になる。プロの試合を見ていると、



力の抜けた柔らかいショットが打てる人ほどランキングが高い。



力を入れる方向ではなく、力を抜く方向でレベルの差があらわれる。






「最初に教わったことの反対を意識するといい」



これは趣味やスポーツの話だけではない。





「ひとの言うことをよく聞きなさい」




子供のころを思いだしてみると、僕は、学校でも家でもそう言われた。



うわの空で返事をしてさらに怒られた。



これが囲碁で「考える」、テニスで「力を入れて打つ」になる。



とすれば逆はどうなるか。




「ひとの言うことを聞かない」




言うことを聞かないとは、条件反射で「はい」と反応しないということ。



よく考えずに相手の意見を鵜呑みにしないこと。とくに上司や目上の人、



そして「すごい人」の意見に要注意。



いつまでもひとの言うことをよく聞いていてはダメだ。



最初から耳を傾けないのも、コミュニケーションとして問題だ。



だからこうなる。




「しっかり耳を傾け、そしてひとの言うことを聞かない」





「忘れちゃいけません。覚えておきなさい」




子供の頃は覚えることが山ほどある。毎日がそのくりかえしだ。




大人になったいま、「忘れる」「覚える」はどうなるか。




「覚えたことを忘れる」




学校でも家庭でも教えてもらえないこと。それは、「忘れる方法」だ。



『暗記科目』という言葉はあるが、『忘却科目』という言葉はない。



大人になって成長するには、知識を蓄える子供の頃とは逆の動きが必要だ。



なぜ忘却が必要か。それは「気づく」ためだ。新しいことに気づくには、



最初にいれた知識を忘れることが必要だ。



いわゆるデトックス、新陳代謝の基本原理である。






「定石を/覚えて2目/弱くなり」




囲碁の格言である。定石とは最初に覚える基本の打ち方のこと。



強くなるために定石を覚えると、なぜか弱くなる、という、逆説的な真実への



警鐘だ。定石を一生懸命覚えると、実際打つときにそれを思い出そうという意識が



強くなる。その場で考える、がおろそかになって弱くなるのだ。




これから成長していくには、昔覚えたことを一旦意識の下にしまっておく、



ぐらいの「忘れる」が必要になる。






「忘れない程度に、忘れる」






これは、新しくさまざまなことに気づくための、大事な技術だ。





「ふざけちゃだめです」




囲碁で陣地のことを「目」というが、無駄な目、つまりどちらの陣地でもない場所



のことを「駄目」という。



そこから「やっても甲斐のないこと」「してはいけないこと」の意味になった。




ふざけるのが大好きな子供に、「ふざけちゃだめ」と言って基本動作を



しつけるのは当然だ。



そして大人になって必要なのはこうなる。






「まじめにふざける」






まわりをみてみよう。新しいアイデアは、まじめにふざけている人から、



毎日湧き出ている。



「まじめにふざける」とは、固定観念や先入観から解き放たれて自由に遊ぶこと。



実際に自分でやってみるとわかる。意外と難しい。




20年ほど前、カジュアルフライデーという習慣ができた。



これは見事に定着しなかった。



まじめにふざけられなかったからだ。金曜だけ皆おなじ恰好になった。



スーツを着ていったら課長に怒られた。社会人として不快感を与えない限り自由、



が定義なはず。



が、スーツを着ない日、となった。「自由」が規定となったのである。



なんともおかしなことになった。コンセプトと現実があわず、自然と消滅した。





「効率よくやりなさい」




これが正しいと教わって大人になった。だが社会に出てみると、



その逆にサービスの差別化ポイントが隠れていた。




「非効率だけどやる」




非効率だがやらなければならないこと。そこに気づいた企業が強い企業だ。



280円均一で人気の焼き鳥チェーン「鳥貴族」。価格勝負の大衆店だ。



どこよりも効率重視のはずだが、一番手間のかかる串うちを各店舗でやっている。



味への強いこだわりで非効率に挑戦している。





なんでも初心者のとき、最初に教わることがある。上達したあとは、



最初に教わったことの反対に、成長の種が埋まっている。



成長に必要だったことは、成長したあとに一旦忘れて、反対を向いてみよう。






まじめに生きることが悪いわけではない。



だが、ずっとまじめに、言われたことを守っていると、成長がとまる。




大人はそのことに、なかなか気づけない。



連載最終回は、旧友に言えなかったことを書きました。



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連載3回目は想い出の1局をふりかえりました。



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連載2回目は「持ち時間」について考えてみました。



読売_2



2020年2月、読売新聞水曜夕刊で4回連載を頂きました。



サイト運営で気づいたことや思い出の1局を綴りました。



第1回は石音で生れる囲碁仲間の「輪」についてです。



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2018/10/17

消せない記憶


うぉぉっ!



すっとんきょうな声は、扉2枚を通過して

リビングにいたつれにも届いたらしい。



何事かと心配された事態は、盤上、それも

パソコンの画面上で起こっていた。



昨晩、僕は所属していた商社OB会のトーナメントに出場した。

自分が運営する囲碁サイト『石音』で
毎月1度の開催。

もう136回も続いている。




準決勝の相手はS七段80歳。いままで25年間も

激闘を繰り返してきた碁敵であり、人生の先輩であり、


同じ囲碁部の仲間でもある。



この日も僕は、自ら編み出した「天空流」という打ち方を駆使して、

終盤には勝勢を築いていた。




あと2、3手で勝利というところで、初心者でも間違えないような

大ポカが飛び出した。




うまくいきかけると油断をする、まさに人生の縮図だ。

これが48年間、どうしても治らない。




『石音』では打った対局が自動保存される。

これは席亭の僕でも消去できない。



そしてとうぶん、記憶も消去できそうにない。



*顔の見える囲碁サイト 石音

 http://www.ishioto.jp/



2日前、本因坊文裕(井山七冠)が山下九段の挑戦を退け

本因坊七連覇を達成した。




京都の寂光寺には7年前、山下本因坊と井山挑戦者が

対局した部屋『本因坊の間』
がある。

盤面も当時のままに再現されている。




ここの2代目住職は、あの信長・秀吉・家康3人の

囲碁の師匠であった日海(にちかい)、
初代本因坊算砂だ。



「名人」という言葉は、信長が算砂に対して

「そちはまことの名人なり」と言ったのが起こりだと言われている。



現在、33代目住職の大川さんが、この囲碁の聖地を

守っておられる。
この5月に訪れた際は、34代目の副住職が

小1時間丁寧にお寺の歴史を説明してくださった。



囲碁を仕事にする者にとって至福のひとときだった。




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2018/04/17

銘盤参上!


―これは預かっておいてほしいんだ。

 まぁあげることになるとは思うけど。



先日頂いた全集と一緒に我が家に到着したのは

桐の箱に入った本榧四寸盤と碁石。

40年ほど前に、Kさんが坂田栄男二十三世本因坊の奥様から

頂いたものだという逸品だ。




久しぶりに外気に触れるのだろう。

箱をあけるとふわっと榧の香りが部屋にひろがった。

木が深呼吸して喜んでいるようだ。



いま家づくりの真っ最中だが、来年2月、新居の和室で

存在感を示してくれるにちがいない。

自宅で開く小さな囲碁教室でも活躍してくれるだろう。



―ずっと、大事に預からせて頂きます。




GOBAN


2018/04/09

全巻集合!


―ちょっと悪いんだけどさ、車で取りにきてくれないかな。



今朝10時すぎに久しぶりにKさんから電話があった。



当ブログでも何度か紹介した、同じ会社の囲碁部だった79歳の方だ。

最近2,3カ月に一度、ランチに誘って頂いている。



間もなく一軒家を売ってマンションに引越すため、

かさばる本と碁盤を取りにきてほしいという。



Kさんの家に行くのは2度目だ。

車を飛ばして昼まえに到着すると、既に縁側に段ボールが2箱、

庭のなつみかんがいっぱいはいった紙袋が2袋と、

古い桐の箱にはいった碁盤と碁石が置いてあった。



―この本はね、売らないでずっと持っていてくれそうな人に渡そうと思ってたんだ。

全巻個人で持っている人はあまりいないと思うよ。



もちろん一生大事にします。ありがとうございます。



37年前発刊の『現代囲碁大系』全47巻が47歳の僕の本棚に揃った。



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2018/03/12

高校OB大会


石音をはじめて12年がたち、僕が始めたリアル大会で

今も続けているのは1つだけになった。



昨日は9回目の「全国高校囲碁OB/OG選手権」だった。



毎年開催していたが、震災でスキップして以降は開催が

1年おきになった。



高校のクラブ活動の同窓会を、卒業後、数十年たっても

続けているところはあるだろう。



だが、OB同士の対抗戦を、8校も集まって開催し続けて

いるのは珍しいかもしれない。




ひとくちに高校OBといっても、集まるメンバーは

大学生から70代まで幅広い。そして集まるメンバーは、

アマチュア囲碁界の
トップレベルの打ち手ばかりだ。



懐かしい同窓会に、懐かしい真剣勝負が加わった

独特の味わいがある。



僕は全体の幹事を1人でやりながら、母校の幹事、監督、

そして昨日は選手にもなった。




「代打俺」といえば、出来る監督風でカッコはいいが、

何せ実力がともなわない。個人では連敗した。




しかし毎回思う。



事前の調整や、母校のメンバー集め、当日の運営、

それらがすべて終わったあとの感触がいい。



大会がおわり宴のあと、皆が帰り際、名残惜しそうに

名札をはずして会場をあとにする。



それをまた見たくて、再来年、五輪の年にも

僕はまたこの大会を開催することになるだろう。


 

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