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2023/10/10

行き当たりばっかし(8)


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詩をそれほど親しんできたわけでもない身でもこれは覚えていた。



小諸なる古城のほとり

雲白く遊子悲しむ



3月2日木曜日。東京では20℃の声が聞こえたというのに、

懐古園では時折日差しもありながら小雪も舞っていた。



懐古園の奥にある展望台からの眺めは、おそらく島崎藤村が

ここであの「千曲川旅情の歌」を詠んだと思わせる力があった。



別所温泉で2泊したあと、初めて小諸にきた。藤村ゆかりの地

ということは知っていた。広大な小諸城の跡地である懐古園には

シーズンオフの寒い平日とあって人影がほとんどなかった。



園内散策で1時間、藤村記念館でたっぷり1時間、

今年一番の贅沢な2時間となった。



藤村にとってここ小諸での6年間は、教員をしながら、

詩人から小説家に転身するターニングポイントとなったという。



藤村は自分のことを遊子(旅人)と詠んだ。

同じく旅人として訪れた僕にとっても、この小さな行き当たりが

ひょっとして何か大きな意味を持つかもしれない。



ふとそんな思いがよぎった。


 

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