2017/11/09
最初は高校の世界史の授業だった。
いつか著作を読んでみようと思った。
それから時が20年近く流れたある日、北京の街を独りで散歩していたら
偶然その人の博物館の前を通りかかったのでふらっと入ってみた。
平日の昼間、誰もいない建物の中をゆっくり見てまわった。
実際に暮らしていた家も移築されていて、使っていた机や
ベッドもそのままだった。
忘れていた興味が静かに沸いてきて
帰国後にその人を解説した新書を読んだ。
それから10数年たったある初夏の日。
恩師が眠る鎌倉円覚寺の境内の一角にモクレンの木があった。
「その人」から贈られた木だと説明書きを見つけて驚いた。
それも恩師が生まれた昭和8年のことだった。
そして先日、新橋駅前の古本市で偶然目にとまった本があった。
26年前のものだが、新品同様の綺麗なもので200円。
すぐに財布を開いた。
『魯迅居断想』 阿部正路
その人とは魯迅。中国の文学者、思想家だ。
この本を読み終えたあと、30年来の満を持して
彼の著作とむきあうつもりでいる。