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根本席亭ブログ 500人の笑顔を支える、ネット碁席亭日記 囲碁の上達方法やイベント情報など、日々の出来事を発信していきます。


以前、鎌倉文学館で鎌倉ゆかりの文豪の直筆原稿を

見る機会があった。




芥川龍之介、夏目漱石、川端康成、与謝野晶子。



どの原稿にも削除、挿入、書き直しなど、

苦闘のあとがはっきり浮き出ていた。



完成原稿でこれだとすれば、没原稿はどれほど

クシャクシャになって部屋を埋めつくしただろう。



書いたものを丸めるとき、頭をよぎるふがいなさ、

口惜しさはいかほどだっただろう。



ふと思う。



100年前の作品がいまだ多くの人に愛されている。

では100年後に今の作品が同じように読まれるだろうか。



名作として評価され読まれる作品の量は限られる。

“入れ替え戦”であの文豪たちに勝てるだろうか。



書くという作業が、パソコンに向かって行うのが

あたりまえになって20年が経った。



いま忘れられつつある「紙に書く」が

名作が輝く理由のひとつだとしよう。



半歩でも近づくためにやるべきことは決まった。

明日から僕も「紙に書く」をもう一度日々の営みに戻そう。



このブログは別として。



今から10年ほど前のことだ。

毎年夏にアメリカ西海岸サンディエゴからやってくる

2人の姪っ子が、




―アンクル明、あーそーぼー!



と僕の部屋に入ってきた。

当時2人は4歳と5歳。
僕はちょうど会員と石音で対局中だった。

遠くから妹の声がした。



―華(hana)、奏(kana)、

 アンクル明は
お仕事中だから邪魔しちゃだめよ。



―えーっ、だってアンクル明、いまゲームしてるよ。



あの時のショックはまだ覚えている。



そうだよな。まだわからないよな。

でも大きくなったらわかるよ。大きくなったら。



昨日、16歳の華(hana)から1枚の写真が送られてきた。

彼女はいま身長172cmたしかに大きくはなった。

だが写真をよく見ると…。



あの時自分に言い聞かせたのは、間違いだったかもしれない。




igo



国が進める「シニア活用」と中小企業の大きなテーマ「採用と定着」。



この2つがぶつかって革新的な流れが生まれるといいが、

よく考えると無理がある。




これだけ世の中の変化のスピードがあがる中で、

「シニアの再教育」という
概念が社会にないからだ。



ではシニア向けの教育の場をたくさん作ればいいのかというと、

ことはそんな簡単ではない。




知識・経験ともに十分なシニアがその場に集まる動機がない。

「知識十分・意識不十分」なシニアが大勢いる。


経済的にもそれほど困っていなければなおさらだ。



現状は、シニアの視線が「うちへうちへ」

(仲間うち、自分のうち)と向かっている。

『世代遺産』が伝わることなく、日本中で日々消えていっている。




自分の力をもう一度社会に役立てよう。

世代を超えて伝えていこう。



その気になって頂くためにどうやって火をつけるのか。



いま準備中の『名脇役オーディション』について来月中旬、

中野区の経営者の前で
話す機会を頂くことになった。



経営者側への発信に加えて、名脇役候補のシニアへの発信も

仕掛けていきたい。




4月からこれを毎月の定例会に発展させて、

中野から全国に発信していきたい。



ーあっ絵がかわりましたね。

―おっ気づいたか。最近こういうのに興味がない人も多いんだよ。



​K
さんは嬉しそうだった。



溜池山王にある小さなフレンチのお店にKさんの絵が飾ってある。

サインを見ずとも作風でわかるようになったので、すぐ気がついた。




Kさんは同じ会社の囲碁部OBで現在79歳。知り合って20年がすぎた。

父より年上ながら頼りがいのある兄貴のような存在だ。

年に3,4回、ランチに誘って頂いている。




―重いから3冊までだな。



30年以上前の棋書『現代囲碁大系』全48巻を

これから「手渡し」でゆずりうける予定だ。

新品で全巻もっている愛棋家はなかなかいない。




―処分しないでずっと持っていてもらえそうな人はほかにいないんだよ。

―ずっと大事にします。残り44冊ですね。

​ 重いので無理せず少しずつでお願いします。




いつか僕の本棚に全巻揃う姿を見るのも楽しみだが、

それより僕はこのランチの時間が大好きだ。

あと20回は元気なKさんと会話を楽しみたい。




「少しずつ」に隠された心の声は気づかれなかったようだ。



20180117233534



「円錐は横から見たら△だが上から見たら〇」



は、
視点をどこに置くか、つまり視座によって結果がちがう

例としてよくつかわれる。



世界史では「大航海時代」という前向きな表現で僕らは習ったが、

侵略された側から見たらあれは「大海賊時代」
だった。



曹操と西太后。悪役のイメージが強い2人を扱った

NHK-BS番組2つを見た。



番組タイトルから「視座をかえればいい人だった」というものを

予想したが、見事に裏切られた。




まず、なぜ悪役のイメージがついたのか、を徹底的に分析して

事実と違う点を明らかにしていく。

新発見の資料
(2009年に発見された曹操の墓や遺骨など)

も真実を裏付ける証拠として登場する。



視座ではなく「イメージを崩して」実像に迫ったのだ。




歴史の真実は視座転換で見えてくる。



僕の頭にこびりついたこんな「イメージ」もいっしょに

この2つの番組は崩してくれた。




*曹操と孔明

https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/92351/2351715/index.html



*悪女たちの真実 西太后

https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/3872/2676042/index.html


 

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