2013/11/25
寅さんから教わる囲碁上手への道、3回目(一応最終回)になります。
さて今日は間接的に見習うべき点を見てみましょう。
○知ったかぶりは教え上手の第一歩
旅先で偶然会った義弟のお父さんに紹介された今昔物語を
「えっこんにゃくが何だって?」
しかしその数日後、義弟に諭すように言います。
「いいか博、これは今昔物語と言ってな・・・」
まるで小さい頃から『人生の書』にしてきた人の口ぶりです。
ご存じの通り恋愛に関しては失敗ばかり、初心者の寅さん。
しかし恋愛に悩む若者に対しては、
「お前いいか、芸者は座敷で口説くもんだ・・」
『超上から目線』でカリスマ恋愛達人のごとく。
どちらのケースも、寅さんの話を聞いた相手は、すっかり心を動かされます。
これ、映画を見てる側の心境として当然、
「どの口が言うか~自分を棚に上げて~」
となって、そこがユーモアのツボです。
しかしこれは、実生活でも立派に活用できる戦略なのです。
皆さん、囲碁教える前に
「私なんかまだ〇〇級で弱いから~」
「人に教えるなんてやったことないしとても~」
と思い込んではいませんか。
ここで大事なこと言いますのでしっかり聞いてください。^^
囲碁教える力と盤上の棋力、関係ありません。
囲碁教わって10分たった人は、全く囲碁知らない人の『いい先生』になれる
可能性あります。10級の人は20級の先生になれるのです。
そしてその10級の先生より初段の先生がいい先生かどうか。
「それは分かりません」
今日は教える技術ではなく、その前提の「教えようという気になる前のハードル」
とっぱらって楽しく教えてもらおうと、寅さんに登場頂きました。
2013/11/21
製品力ではなく、人間力で売ってしまう寅さんから、たくさん学べます。
ちょっと大げさに言ってしまうと、
教え上手を目指す皆さんは、囲碁愛ではなく、人間愛で教えましょう
となるのでしょうか。
「囲碁愛ではなく人間愛で」
つまり相手が何に興味があって何が欲しいのか、
よく観察しながらこちらのトーク行動を変える
ということですね。すでに本ブログで何度も言ってきましたが大事なのでまた書きます。
ここで皆さんの心の声が聞こえてきました。
「そうは言ってもルール教えなきゃ始まらないでしょ」
「相手が1人だったらいいけど、たくさんいたらどうするの」
直接の答えは今日は保留します。これからのブログでまとめるかもしれません。^^
さて寅さんは、売るときに必ず、製品と目の前に立つお客さんを結びつける
「ストーリー」を即興で創り上げています。
そうです。寅さんには、人への深い愛情があるので、すぐにストーリーが
湧き出てくるのです。製品愛だとストーリーがその人その人には創れません。
教え上手を目指す皆さんがこれを真似ない手はありませんね。
「お爺さんが囲碁が好きで、今度会ったら驚かせようと思って来ました」
こう自己紹介で話してもらった人に対してその日のキーワードは「お爺さん」です。
教えながらも、このワードを何度も使いながら、「その人にとっての囲碁ストーリー」
一緒に創ってあげます。
相手の心を動かす「教え上手」になるには、囲碁力、囲碁愛に頼らず・・・
寅さんに感謝しつつ、皆さんも一緒に人間力を磨きませんか。
2013/11/18
四谷赤坂麹町、チャラチャラ流れるお茶の水。粋な姐(ねえ)ちゃん立ちしょんべん。
ご存じ映画「男はつらいよ」で寅さんが発する口上です。
テキ屋稼業の寅さんは、全国各地のお祭りで、通りがかりの人に次々と声をかけます。
この寅さんから、教え上手になるためのヒントがたくさんもらえます。
寅さんの相手は、たまたまそこを通りがかった人。
その商品に強い関心があったわけではない人。(但し少しは興味をもてる人)
囲碁教え上手の相手は、囲碁熱が「中」以下の人。
少しは関心あるけど、それが強いものではない人。
なんと同じじゃないですか!^^
そして寅さんのゴールは「商品を買ってもらうこと」
教え上手のゴールは「囲碁ファンになってもらうこと」
ジャンルも時間軸も違いますが、「関心が強くない人の心を動かす」点で同じなんです。
そんなわけで、囲碁上手を目指す皆さん、その視点でもう一度寅さんを見てください。
・思わず立ち止まってしまう、笑ってしまう楽しい口上。明るい雰囲気。笑顔笑顔。
・寅さんの商品説明は最小限。その商品がどうしてここに置かれるようになったか、
なぜこんなに安くできるのか、ストーリーを重視。(理性ではなく感情にアプローチ)
・寅さんは1人1人に語りかけ、その人にあわせた口上を。
「ちょっとそこのお兄さん、いまあなたは恋をしてるね」
そしてそこから(ちょっと強引に)ストーリー展開させて商品と結びつける。
このブログの読者の皆さんは、もうお分かりですね。
まずは頭の中の下記等式を一旦解除してくださいー。^^
囲碁教える=ルールを教える=製品説明
寅さんがテキ屋で生きていけるのは、扱う商品に愛情を持っているから、でしょうか。
もちろん、囲碁上手を目指すのに、囲碁への愛情が不要なわけではありません。
しかし、多くの場合その愛情が、囲碁上手への道をふさいでいる現実があります。
相手に応じて、その相手の段階に応じて、演じる力。それが求められています。
次回も、もう少し寅さんにお付き合い頂きましょう。
2013/11/14
教え上手になるには、まず相手とのオリジナルな雑談でコミュニケーションパイプを通すことを意識。
そして相手の囲碁熱を測る、が最初のアクションになります。
ではどうやって囲碁熱を測ったらいいでしょうか。
・自己紹介で、「どうして今日ここに来ましたか」 を簡単に話してもらう
・1人で来たか(囲碁熱高)、誰かに誘われて来たか(囲碁熱低)を見る
・会話の反応、目の輝きを見る
席亭はいつもこの3点で測っています。
皆さんも自分独自のやり方で、これから教えようとする相手の囲碁熱、ぜひ測ってみてください。
囲碁以外の趣味を聞いて、そこから想像するのもいいでしょう。
もちろん測るだけではなく、会話を盛り上げ、楽しい空気を作り、
相手を現時点でベストな状態にもっていく(お笑いで言えば客を温める)努力は大切です。
そして相手の熱の高低に応じて以下アプローチがお勧めです。
囲碁熱低めの相手に対しては → 囲碁の自己紹介 (囲碁って何? アプローチ)
囲碁熱高めの相手に対しては → 囲碁の製品説明 (囲碁を好きになって! アプローチ)
しかし、自己紹介と製品説明、この2つを同時にやろうとする、
つまり、「私を知って、そして好きになって」、と焦ると失敗します。
囲碁普及を難しくしてしまう最大のポイントはここにあります。
相手に関係なく、囲碁を教えようとする時、いつも製品説明(ルール説明)を主にしてしまうのです。
確かに「一目惚れに近い状態」、もしくは「長年想いを寄せている相手から」であれば、
この2つ同時アプローチも問題ないでしょう。
しかしこれは囲碁熱がとても高い状態の人にしか通用しません。
私を知ってください(自己紹介)も、囲碁でいえばルール説明じゃないの?
こういう声が聞こえてきそうです。それは違います。
次回はあの国民的映画「男はつらいよ」から一緒に学んでみましょう。^^
2013/11/07
教え上手になるには「相手を知ること」。
では相手の何を知ったらいいのでしょう。
答えはシンプル。「どれぐらい囲碁に興味があるか」です。
席亭はこれを『囲碁熱』と呼んでます。
「なぜ今あなたはここに座ってるのですか?」を教える側がしっかり分かることからスタート、ということなんです。
皆さんは教える時、相手の囲碁熱、最初に測ってますか?
囲碁熱に応じて教え方変えてますか?
囲碁熱10 「3ヶ月の囲碁入門教室に前払いで申込んだ」
囲碁熱8 「都合にあわせて月数回平日碁会所に通うようになった」
囲碁熱6 「休日に1人で有料の囲碁教室に申し込んだ」
囲碁熱5 「友達に誘われて一緒に(同上)」
囲碁熱3 「漫画や映画の影響で興味が出て1人で勉強してみた」
囲碁熱2 「家族や友人に、教えるからここに座ってと言われた」
囲碁熱1 「無料入門をやってる場所に偶然通りかかった」
席亭はこの10数年、
「会社の同僚を集めて週1で2年間」
「土日に若者対象7年間で200回」
「平日夜週1バーで1年間」
「表参道の和の習い事スタジオで1年間」など、
様々な場所、シチュエーションで色々な囲碁熱の方に教える機会を持つことが出来ました。
この経験から言えることは、囲碁を教わるチャンスがある人の8割は囲碁熱5以下、
ということです。
ちょっと興味があるけど、なかなかキッカケがない。一人で行動するほどではない、
という、全体の8割を占める囲碁熱5以下潜在囲碁ファンを
「どう見つけて」「どう心を動かすか」
まだ成功事例があまりないだけに、楽しみですね。
これから一緒に考えて行動していきましょう。
2013/11/05
2013/10/30
2013/10/28
2012/09/02
前回までの3回で、「囲碁を教える事前準備」考えてみました。
さて次はいよいよルールを教えるんですよね、師匠っ!
そんな声が聞こえそうですが、
「違います」
せっかく準備をして、相手が「何を求めているか」、つかんだのに
すぐにルール説明に入ってしまう。これははっきり言って
「もったいない」
ルールではなく、その人ならではの、もっと興味をもってもらえる
視点はないでしょうか。そうです。興味優先、ルールは2の次です。
ところで皆さんは、囲碁に興味をもった人に
「囲碁ってこんなゲームだよ」
って、何通りぐらいの言い方で説明できますか?
囲碁って黒石と白石つかって陣地をとるゲームです、って
1通りだけですか!?
出来れば相手の興味や特徴にあわせて3パターンぐらい用意したいですね。
次回はどんなパターンがあるか一緒に考えてみましょう。
2012/08/09
囲碁を教える際の事前準備、1番目は身だしなみ、
2番目はコミュニケーションパイプでした。
さて3番目は「なぜいま目の前に座っているのか把握しよう」です。
囲碁に限らず「教える」という事の最終目標は一つ、
「相手のモチベーションを高めること」です。
当然、相手が求めるものが分かってないと、話になりません。
まずはここまでいいでしょうか。^^
最近囲碁入門者は大きく次の3パターンに分類できます。
1.習い事派
女性に多いです。このグループの人かどうかをチェックするのは
簡単です。「ほかに何か趣味でやってますか」と聞いて
どこか教室にいったことがあるものが2つ、3つあるタイプの人
はここに入ります。
このグループの人は「分かる」「上達する」楽しさを求める
傾向が強いです。
2.交流派
仲間・異性・家族、といった交流目的で、ツールとしての囲碁に
魅力を感じて始めようと思う方になります。
入門からなるべく早い段階で、仲良くなるような仕掛け
(ペア碁・相談碁・団体戦)を取り入れると効果があります。
3.なんとなく派
最近「囲碁ガール」という言葉の認知度や露出が高まるにつれて
このカテゴリーの入門者が増えてきました。
「友達に誘われて」
「なんか最近はやっていると聞いたので」
「雑誌やテレビで見ました」
興味の度合いは一過性だったり、とりあえず来てみたという程度。
囲碁普及はこの層を囲碁ファンにできるかどうかに
かかっています。
皆さんこの「なんとなく派」に対して、
「習い事派」と同じアプローチで教えてはいませんか?
この3つのグループに、どのように教えたらいいか、正解はありません。
教える人それぞれが、自分の頭を使い試行錯誤するしかありません。
但し事前準備を怠り「教えたいことを教える」という姿勢では、
潜在囲碁ファンをどんどん無くしている結果になります。
「相手を知って教え方を変える」
できていますか?